人を育てるうえで、知識やスキル以前に大切なのは「コーチャブルであること」だと思っています。
つまり、人からの助言やフィードバックを受け入れ、自分を変える余地を持っているかどうかです。
どれだけ優秀な上司が丁寧に指導しても、本人が「自分は間違っていない」「この人の話を聞く必要はない」と思っていれば、成長は止まります。逆に、素直に聞き、試してみて、修正できる人は驚くほど伸びていきます。ただし、ここでマネジメント側も考えなければいけません。「部下は素直に上司の話を聞くべきだ」と考えるだけでは不十分です。
私自身に置き換えても同じです。例えば稲盛和夫さんから「経営とはこうあるべきだ」と言われれば、私は真剣に聞くと思います。京セラやKDDIを育て、日本航空の再建にも携わったという実績があるからです。一方で、会社を経営した経験もなければ、目立った実績もない、名前も知らない人から突然「経営とはこういうものです」と言われても、素直に受け入れられるかというと難しい。これは誰にでもある自然な感覚でしょう。だからこそ、部下をコーチャブルにするには、指導する側の「名と功」、つまり「この人は何を経験し、何を成し遂げてきた人なのか」を最初に理解してもらうことも大切です。
研修でも同じで、いきなり正論を並べるより、「この講師はどんな現場を経験し、どんな成果を出してきたのか」を最初に伝える。それだけで話の入り方は大きく変わります。マネジメントとは、正しいことを言うだけではありません。相手がその言葉を受け入れられる状態をつくるところから始まる。フィードバックを受け取る側にはコーチャブルな姿勢が必要ですが、同時に、与える側にも「なぜ自分の話を聞く価値があるのか」を示す責任があります。
人を変えたいなら、まず「聞いてもらえる関係」をつくる。
これもまた、マネジメントの重要な仕事だと思います。冒頭に自己紹介しますが、表現的に凄みを持たせるのは自慢したいなど一切なく如何にして「話を素直に聞いてもらえるか」状態に持っていきたいためです。経歴や学歴に実績はそのためにあります。全部エビデンス付と数字で実証できるような内容なのはこのためです。
