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  2. 気まぐれコンセプトクロニクル

この作品は、『ビッグコミックスピリッツ』で連載されてきた4コママンガ『気まぐれコンセプト』のベスト盤。
1984年から2006年の23年間の作品をまとめたクロニクルな一冊です。
1984年からの23年間といえば、バブル前夜からバブル絶頂、バブル崩壊、不況の90年代、そしてネットと携帯が爆発的に普及した2000年代にあたります。

扱うテーマは、当時のテレビCMや広告手法、若者文化、流行語など多岐にわたりますが、それらが時代背景とともに描かれているため、いわば「広告と社会の関係史」としても読むことができます。
過去の出来事や流行を振り返ることで、現代のトレンドとの違いや、あるいは共通点を見つけるのもおもしろい体験です。

この作品の最大の魅力は、発想の柔軟さと「どう面白く伝えるか」という視点にあります。
クスッと笑える4コマの中には、広告やデザインに必要なアイデアの種が詰まっており、「こういう伝え方もあるのか」と気づかされる瞬間がたびたび訪れます。
クリエイティブなアイデアとは、突拍子もない発想というより、「世の中をちょっとズラして見る視点」から生まれるものだということを、このマンガはさりげなく教えてくれます。

歴史的な内容も多いため、最初は「ちょっと昔の話だな」と感じるかもしれません。でもそれこそが、この作品の強みでもあります。
技術やトレンドが変化しても、人に伝えること・面白く魅せることの本質は変わらない。その“変わらない部分”を、23年分の4コマが浮かび上がらせてくれます。

Web制作の仕事は、「正解がひとつじゃない」世界です。その中で、どう考え、どう届けるか――。
そのヒントをユーモアとともに届けてくれる1冊として、ぜひ手に取ってみてください。