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『沈黙のWebマーケティング』

500ページ近くある本なので、はじめて手に取ったときは「最後まで読めるかな」と不安になるかと思います。
ですが、心配無用。
いわゆる教科書的なかたい解説書ではなく、マンガ形式 + ストーリー仕立てになっており、しかも「ふきだし」が並んでいるだけなので、さくさく読み進めることができます。
登場人物たちのやりとりを追いながら、Webマーケティングの本質が自然と理解できるようになっているのが最大の魅力です。

物語の主人公は「ボーン・片桐」という、どこかミステリアスな雰囲気のWebマーケッター。彼が業績不振に悩む家具メーカー「マツオカ」のWebサイトを立て直していく過程が軸となっています。
ボーン・片桐を敵視する謎の組織も登場。マツオカのWebサイトの検索結果の表示順位を下げようと、あの手この手で卑劣な攻撃を仕掛けてきます。

『沈黙のWebマーケティング』は、主にSEOを中心としたWebマーケティングについて詳しく書かれています。
そのなかで印象的だったのは、「Webデザインの本質は<言葉>」だということ。
見た目がかっこいいだけのWebサイトでは、商品は売れない。
なぜなら、アート性を意識したおしゃれなデザインは、お客様をワクワクさせることができても、「このサイトは大丈夫かな」「商品はちゃんと届くかな」という不安をぬぐい去ることができないから。
だからこそ、商品やブランドの魅力を伝えるには「言語化」が必要なのだ。
この本は、そうした「作る前の考え方」や「コンテンツの設計思想」を、初心者でも無理なく身につけられるようになっています。

物語はハードボイルドですが、結構ふざけているし、どこかで見たことがあるようなセリフや単語もあちこちに散りばめられています。
はじめは、ただただ楽しく読み進めて行くだけですが、後半で伏線回収のようにそれらの意味が分かるのがこの本のすごいところ。
いままで読んできたこの物語自体が「funny」と「interesting」を両方取り入れたコンテンツだったのかと気づくと、ちょっと感動します。

Web制作に興味を持ったばかりの方に、この本はきっと「これから何を意識して学んでいけばいいか」という道しるべになってくれるでしょう。
デザインやコーディングの技術だけでなく、誰かの役に立つ“伝える力”を身につけたい。
そんな想いがあるなら、まずはこの『沈黙のWebマーケティング』を開いてみてください。きっと、新しい視点でWebの世界が見えてくるはずです。